人魚姫の涙
「ママのね、実家に聞いたの。たまに電話で話したりしてたから」
「――」
「そしたら、ママはO型だったって」
沙羅の涙がポタポタと床に落ちる。
その姿を見ながら、グチャグチャになった頭で現実を受け止める。
紗羅の母親の実家。
確か、田舎の小さな村だって聞いた事がある。
「それを聞いて、私は一体誰なんだろうって思ったの」
「――」
「自分が何者なのか分からなくなったのっ」
そう言って、唇を噛み締める沙羅。
そんな紗羅を、俺は無意識に抱きしめた。
俺の胸の中で肩を震わせる紗羅を強く抱きしめる。
壊れてしまいそうなその小さな体を繋ぎ止める。
想像もしていなかった展開に、頭がついていかない。
だったら沙羅はおじさんの子供ではないのか?
それとも再婚で、どちらかの連れ子だった?
この目の色も、そういう事なのか――?