人魚姫の涙
「ママの血液型が分かってから、ずっと考えてたの。自分が誰なのか」
「――」
「でも、血液型だけじゃどうしても納得できなかったの。もっと確かなモノが欲しかった」
紗羅の言う確かなモノ。
グルグルと頭を回転させる。
そして、ある言葉に辿り着いた。
「…DNA鑑定」
「――そう」
俺の言葉を聞いて、紗羅はコクリと頷いた。
ドラマや映画の中だけの言葉だと思っていたのに、その言葉が自分の口から零れた瞬間現実味が増す。
だけど、そこで一つの疑問が浮かび上がる。
「でも、紗羅の母親は紗羅が生まれてすぐに亡くなったんじゃ……?」
「そう。だから日本に来たの」
「――骨?」
「ううん、違う。骨からだとDAN鑑定をするのは、とても難しいの」
「だったら――」
フルフルと首を横に振って、そう答える紗羅。
そして、俺を見上げてしっかりとした口調で言った。
「へその緒」