人魚姫の涙
「それが、確かめたかった事?」


日本に来た、もう一つの理由。


「うん。ママを、本当のママを探しに来たの」


真っ青な瞳は突然変異と聞いていた。

でも、もしかしたら紗羅の母親は異国の人?

だったら、どうしておじさんは嘘をついた?

どうして、何も教えてくれない?

何かやましい事でもあるのか?


何一つ分からない中で、疑問だけが膨らんでいく。

だけど、憶測だけでは何も始まらないと思い、その言葉の続きを促す。


「それで、結果は出たのか?」


痛いぐらいの静寂の中、俺の言葉を聞いてコクリと小さく頷いた紗羅。

そして、ゆっくりと顔を上げて、大きな瞳で俺を見つめた。
< 190 / 344 >

この作品をシェア

pagetop