人魚姫の涙
ドクドクと心臓がありえないくらい早く動く。
頭の中は猛スピードで紗羅の言葉を理解しようとする。
でも。
「ありえない...…だって...…ありえないだろ」
「誕生日」
まともな言葉も出ない俺に、紗羅が囁くように言った。
その言葉に、息を止める。
「成也と私の誕生日は同じ」
「――」
「そんな偶然、あると思う?」
「でも――…」
「きっと双子なんだよ」
そう言って、悲しそうに微笑んだ紗羅 。
その姿を見て、しっかりしなきゃと思う。
それなのに、体が、頭が、言う事をきかない。