人魚姫の涙
「じゃぁ、なんで別々に育てられた?」

「――」

「仮に俺達が兄妹だとしたら、父親は?」


否定する言葉ばかりが口からついて出てくる。

認めたくなくて、必死に逃げ道を作る。


徐々に酸素が体に回らなくなって、紗羅の手を握る俺の手が震えた。

世界がグルグル回っている。


そうだ。

じゃぁ、父親は誰なんだ。

どうして、別々に育てられた?

それに、双子って言っても俺達は全く似ていない。

だから――。


「それは、分からない。どうして別々に育てられたのかも、父親が誰なのかも」

「じゃぁ...…」

「それは、本人達にしか分からない事だよ」
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