人魚姫の涙
「真実を――」
おじさんの一言と同時に、部屋の中の空気が薄くなった気がした。
母さんは俺達2人をじっと見つめている。
そして、固く繋がれた俺達の手を見て唇を噛んだ。
「話は私達の大学時代に遡る」
そして、ゆっくり話し出された俺達の物語――。
「知っての通り、私達4人は大学時代はとても仲が良くてね。私と大悟、茜と桜。気が付いたらいつも4人一緒だった」
大悟は俺の父さんの名前。
桜は母さんの名前。
じゃぁ、茜はおじさんの奥さん。
つまりは、紗羅の母親だとされる人。
「他愛もない日々だった、授業を一緒に受けて、サークルへ行って、たまに飲んだりして。楽しい大学生活だった」
「――」
「そんな中、私と桜は次第に心惹かれて、付き合う事になったんだ」
「え? 母さんと、おじさんが?」
衝撃だった、母さんとおじさんが昔付き合っていたなんて。
紗羅も知らなかったのか、驚いたように目を見開いた。
「大学2年の冬だ。お互いに思い合っていた。大悟と茜も祝福してくれた」