人魚姫の涙
「何度も俺達は話しあった。駆け落ちする事も考えた。だけど、所詮大学生の俺達には仕事もなければ住む場所もなかった」
「――」
「時間だけが残酷に過ぎていき、桜と大悟は結婚する事になった」
悲劇。
愛し合っていた2人を引き裂いたのは、最も近くにいた友人だった。
「狂ってしまいそうだった、力のない自分にも、この世の中にも嫌気がさした」
きっと、俺なら耐えられない。
紗羅が友人と結婚するなんて。
ましてや、政略結婚なんて。
間違いなく、狂ってしまう。
言葉も無く、俺と紗羅は下を向く。
そして、静寂の中に落ちた声を世界の端で聞いた。
「そして、私達2人は禁忌を犯した」
悲劇の先にあったのは、やっぱり悲劇だった―――。
「――」
「時間だけが残酷に過ぎていき、桜と大悟は結婚する事になった」
悲劇。
愛し合っていた2人を引き裂いたのは、最も近くにいた友人だった。
「狂ってしまいそうだった、力のない自分にも、この世の中にも嫌気がさした」
きっと、俺なら耐えられない。
紗羅が友人と結婚するなんて。
ましてや、政略結婚なんて。
間違いなく、狂ってしまう。
言葉も無く、俺と紗羅は下を向く。
そして、静寂の中に落ちた声を世界の端で聞いた。
「そして、私達2人は禁忌を犯した」
悲劇の先にあったのは、やっぱり悲劇だった―――。