人魚姫の涙
静まり返った部屋。

紗羅も同じ事を考えていたのだろう。

母さんの顔をじっと見つめて、不安な顔をしていた。

俺達は息を飲んで、母さんの次の言葉を待った。

そして――。


「異父重複妊娠」

「え?」

「産婦人科の先生にそう言われたわ」

「いふ……じゅうふく、にんしん?」


母さんの口から出た、聞き慣れない言葉。

どういう意味だ。
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