人魚姫の涙

「それから紗羅は俺と茜の子として、成也は桜と大悟の子として育てられたんだ」


今まで俺達が信じてきた世界。

桐谷誠也。

塚元紗羅。

隣に住む幼馴染。


でも本当は。

愛のしがらみの中で産まれた。

いろんな感情を背に産まれた。

双子の兄妹だったんだ。


「――…酷いよ」


そんな時、震える声で微かに聞こえた紗羅の声。

隣を見ると、唇を噛んで涙を流す紗羅がいた。


「こんなの酷いよっ」
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