人魚姫の涙
「紗羅...…」

「どうしてよっ。こんなの酷すぎるよ。パパもおばさんも、みんな勝手すぎるよっ」


ボロボロと真っ青な瞳から零れる涙。

肩を震わせる紗羅を俺は優しく抱きしめた。


「紗羅」

「――うっ...…ぅ~っ」


ぎゅっと俺の背中に腕を回して泣きじゃくる紗羅。

そんな紗羅の背中をポンポンと優しく撫でた。


「すまない...…本当にすまないっ」

「ごめんなさいっ」


おじさんも母さんも俺達に深く頭を下げた。

こんな事をしても許される事はないのに。

何度も、何度も、そう繰り返した。
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