人魚姫の涙
結局その日は和志の家に泊めてもらい、翌日車で別荘まで送ってもらった。





「うわぁ~!! すごい! ハイジの家みたい~!!」


着いた途端、目を輝かせて家の中に入って行った紗羅。

バタバタと子供の様に駆け回っている。


「喜んでもらえてよかったよ」

「本当ありがとな。なんてお礼言ったらいいか……」

「いいよ。長い付き合いだ。これぐらいさせろ」


そう言って、車の中から生活用品の入ったカバンをドサッと置いた和志。

いつの間に準備したんだと、驚きを隠せない。


「何度か来た事あるから勝手は分かるだろ? まぁ何かあったら連絡しろ」

「あぁ」

「じゃ、邪魔者は退散するよ」


そう言って、ヒラヒラと片手を振って車に向かう和志。

その後ろ姿を慌てて追いかける。
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