人魚姫の涙
「そんなスゴイ人だったんだ...…」
「俺もたまに忘れる」
「ふふっ、和志くん、なんだかいつも眠そうだもんね」
「それは、タレ目だからだろ」
そう言って、俺達はケタケタと笑った。
◇
「紗羅~飯できたぞ」
「わ~い!! お腹ペコペコ!!」
広いキッチンに紗羅が嬉しそうに駆けこんでくる。
ウキウキした様子で、出来上がった皿を運んだ。
あれから俺達は他愛もない事を一日中話したり、周りを散策したりした。
ちょうど湖の前に経つ、この別荘。
朝は湖の水面がキラキラと宝石のように輝き、夜になれば満点の星が映りこんだ。
まるで、おとぎ話に出てくる場所みたいと、紗羅は喜んだ。