人魚姫の涙

「そんなスゴイ人だったんだ...…」

「俺もたまに忘れる」

「ふふっ、和志くん、なんだかいつも眠そうだもんね」

「それは、タレ目だからだろ」


そう言って、俺達はケタケタと笑った。







「紗羅~飯できたぞ」

「わ~い!! お腹ペコペコ!!」


広いキッチンに紗羅が嬉しそうに駆けこんでくる。

ウキウキした様子で、出来上がった皿を運んだ。


あれから俺達は他愛もない事を一日中話したり、周りを散策したりした。

ちょうど湖の前に経つ、この別荘。

朝は湖の水面がキラキラと宝石のように輝き、夜になれば満点の星が映りこんだ。

まるで、おとぎ話に出てくる場所みたいと、紗羅は喜んだ。
< 260 / 344 >

この作品をシェア

pagetop