人魚姫の涙
◇
「成也今日、いつもとなんだか違ったね」
シーツに包まりながら、紗羅がキョトンとした顔でそう言う。
その言葉の意味が分からなくて首を傾げた。
「違うって?」
「ん~なんだろ。動きが早かった!」
「――」
「腰の動きかな? なんか、こう、円を書くみたいに――」
「あ~!! もう言わなくていいから!」
相変わらず、こんな事を恥ずかしげもなくサラッと言ってしまう紗羅。
天然なんだろうけど、毎回聞いているこっちが赤面してしまう。
「ふふふっ、成也照れてる~、なんで?」
「いいから! 服着ないと風邪ひくぞ」
「は~い、喉乾いたから飲み物持ってくるね~」
クスクス笑いながら服を着てキッチンに向かう紗羅は、もはや小悪魔だ。