人魚姫の涙




「成也今日、いつもとなんだか違ったね」


シーツに包まりながら、紗羅がキョトンとした顔でそう言う。

その言葉の意味が分からなくて首を傾げた。


「違うって?」

「ん~なんだろ。動きが早かった!」

「――」

「腰の動きかな? なんか、こう、円を書くみたいに――」

「あ~!! もう言わなくていいから!」


相変わらず、こんな事を恥ずかしげもなくサラッと言ってしまう紗羅。

天然なんだろうけど、毎回聞いているこっちが赤面してしまう。


「ふふふっ、成也照れてる~、なんで?」

「いいから! 服着ないと風邪ひくぞ」

「は~い、喉乾いたから飲み物持ってくるね~」


クスクス笑いながら服を着てキッチンに向かう紗羅は、もはや小悪魔だ。

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