人魚姫の涙
「あ~! 見て、流れ星!」
服を着て、ベットでお酒を飲みながら天窓から夜空を見上げる。
昨日ちょうど買ってきていたお酒を飲んで、簡単にお祝いをした。
でも、確かにプレゼントなんていらないのかもしれない。
こうやって一緒に過ごせる事が一番幸せから。
周りに明かりがないからか、ここの星は綺麗だ。
いつも、この時間は2人で夜空を見上げるのが日課だった。
「ふふ。ベッドでお酒飲むなんて行儀悪いって怒られちゃいそう」
「今日くらいいいだろ」
頬をピンクに染めた紗羅が俺に寄り添って小さく笑う。
頭にキスを落とすと、紗羅は幸せそうに目を細めた。
「ねぇ、成也?」
「ん?」
「前にね、私と成也は運命の相手だって話したの覚えてる?」
「あぁ。覚えてるよ」
〝――ずっと前から決まっていた事なんだよ″
煌めく海を見ながら、そう言った紗羅。
その言葉の意味は、あの時は分からなかった。