人魚姫の涙

自分の叫び声で目が覚めた。

まるで全力疾走した後の様に、息が苦しい。


夢…。


未だにぼんやりとした意識の中で、紗羅の名前を呼ぶ。

まだ夢の中にいるように、頭がボーっとする。

だけど、差し込む朝日を感じて、ゆっくりと目を開けた。


見上げた先に見えるのは、真っ白な天井。

見覚えのある光景に、意識が徐々にハッキリとしだす。

そして、夢から覚めた瞬間、勢いよく飛び上がった。

昨日の事が鮮明にフラッシュバックする。

心臓が一気に早鐘のように鳴り出す。


「紗羅!?」


慌てて周りを見渡すが、ベットに寝ているのは俺1人で人の気配はない。

一気に背中に嫌な汗が湧き出る。
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