人魚姫の涙
俺はベットから飛び降りて、リビングへと向かった。


「紗羅!!」


激しくドアを開けて、中に入る。

いつもなら、おはよう! と俺に飛びついてくる紗羅。

でも、そこにはガランとした光景だけが広がっていた


ドクドクと心臓が煩い。

周りの空気が一気に薄くなって、息ができない。


紗羅。

紗羅。

紗羅。


俺は無我夢中で家の中を探し回った。

何度も何度も。

同じ部屋をぐるぐると回って。

紗羅の姿を探した。
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