人魚姫の涙

紗羅がいなくなってから、数週間が過ぎた。

あれから、いろんな所に電話をかけ、何日も何日も探し回った。

でも、紗羅はどこにもいなかった。


おじさんも、もしかしたらイタリアに帰っているかもしれないと言って日本を発った。

しかし、2日後かかってきた電話口のおじさんは落胆していて。

受話器を持ったまま、母さんは泣き続けた。


俺は、紗羅のいない世界で抜け殻になった。

< 310 / 344 >

この作品をシェア

pagetop