人魚姫の涙

俺が紗羅を好きになったから。

だから紗羅はいなくなった。

俺の為に。

俺の幸せの為に――。


やっぱり俺は、呪われた男の子供だ。

周りを不幸にする。


「なぁ、母さん」

「なあに?」

「産まれた俺が、憎かった?」


俺の言葉に、母さんは息を詰めた。


裏切り者の男の子。

悪魔の子。

母さんの幸せを壊した男の子供。

そんな子供と一緒に過ごす日々は、母さんにとっては苦しみでしかなかったんじゃないだろうか。

本当は、紗羅とおじさんの3人で家族になりたかったのではないだろうか。
< 313 / 344 >

この作品をシェア

pagetop