人魚姫の涙
俺が紗羅を好きになったから。
だから紗羅はいなくなった。
俺の為に。
俺の幸せの為に――。
やっぱり俺は、呪われた男の子供だ。
周りを不幸にする。
「なぁ、母さん」
「なあに?」
「産まれた俺が、憎かった?」
俺の言葉に、母さんは息を詰めた。
裏切り者の男の子。
悪魔の子。
母さんの幸せを壊した男の子供。
そんな子供と一緒に過ごす日々は、母さんにとっては苦しみでしかなかったんじゃないだろうか。
本当は、紗羅とおじさんの3人で家族になりたかったのではないだろうか。