人魚姫の涙

「忘れられるわけ……ないだろっ」


悲しみに満ちた、その歌詞。

恋焦がれた恋人を想うような、歌詞。

切なくて、涙がまた溢れた。


忘れられるわけない。

こんなに愛しいのに。

今も変わらず愛しているのに。


きっと泣き虫の紗羅は、今もどこかで泣いている。

震えて俺の名前を呼んでいる。


『僕が紗羅ちゃんを守るよ』


幼い頃に約束した。

俺がずっと側にいて、紗羅を守ると。


その言葉が蘇った瞬間、顔を上げる。

心の中で、一つ指針が見えた。


俺は、こんな所で泣いている場合じゃない――。

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