人魚姫の涙
『よ~成也。 久しぶり』


携帯の向こうから聞こえてきたのは、懐かしい声。

久しぶりに聞くその声に、無意識に笑みが零れた。


「和志、久しぶりだな」

『お前、全然連絡よこさねーんだもん。で? 今どこにいんの?』

「今? 今はオーストラリア」

『あ~、グレートバリアリーフがあるもんな。世界最大の珊瑚礁だっけ?』

「ん~まぁ、そんなとこ」

『――…今度は見つかるといいな』

「あぁ。何か分かった事があったら連絡してくれ」

『分かってるよ。じゃ、また連絡する』


たかだか1分くらいの電話に、和志らしいなと思う。

和志は忙しい合間を縫って、こうやってたまに電話をくれる。

あいつなりに俺の事を心配してくれている。
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