人魚姫の涙
――あれから、4年が経った。

あれからというのは、紗羅が俺の前から姿を消してからだ。


紗羅を見つけると決めてから、俺の人生はその事だけを中心に回ってきた。

自分でも思う程、我武者羅にやってきたと思う。


和志にも、手伝ってもらってる。

世界中に支社を持つ、和志の両親の会社。

紗羅の写真を配ってもらい、見かけたら連絡をくれる様に頼んだ。


そして、大学を卒業した俺は外資系の会社に入社した。

仕事上、世界中を飛び回っている事が多い。

とうより、そういう会社を選んだ。

紗羅を見つける為に。


仕事で海外に行く度、紗羅の行きそうな所を探し回った。

海と夕日の綺麗な、そんな場所を。
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