人魚姫の涙

期待して。

落胆して。

絶望して。


そんなサイクルを何度も何度も繰り返した。

探して、探して、探しまくった。


だけど、ようやく見つけた手掛かりも間違いだと分かった時は、地獄の底に突き落とされたような気分になった。

感情が爆発して、気が狂ってしまいそうになった。

その度に思うのは、会いたいという気持ちだけだった。

今すぐにでもこの腕に閉じ込めたかった。

だから、どれだけ絶望しようとも一度も諦めようとは思わなかった。


諦めたら、きっと俺は生きていけない。

紗羅を探す事によって、今にも壊れそうな俺の心は保たれている。


俺はずっと夢見ているんだ。

あの笑顔に会う日を。

あの瞳を見つめる日を。

あの体を抱きしめる事を。

俺の名前を呼ぶ、あの声を聞く日を――。
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