人魚姫の涙
なのに、今更離れて生きてなんていけない。

側にいなきゃ、立っていられない。

息もできないんだ。


「紗羅。コレ」


泣きじゃくる紗羅の顔を上げさせて、手の平を広げる。

その中にあったものを見て、紗羅は目を見開いた。


「コレ……」

「俺達の宝物」


手の平に乗っていたのは、あの日紗羅が置いていった俺達の宝物。

夜光貝の貝殻。

それをゆっくりと紗羅の手の上に乗せる。


「俺はこの先何があろうと紗羅を守る」

「成也……」

「誰に何を言われようが、紗羅の隣にいる」

「――」

「紗羅、言ったよな? 俺に幸せになってほしいって」

「――うん」

「だったら、俺の幸せはここにある」


そう言って、紗羅のおでこに自分のおでこをコツンとぶつけた。


「だから、俺はずっとここにいる」
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