人魚姫の涙
涙を流しながら、大きく頷いた紗羅。

そして、夜光貝を見つめて嬉しそうに笑った。


夕日に輝く海。

キラキラと真珠の様な砂。


その光景は、あの日と同じだった。

俺達の恋の始まりの時と同じ。

夕日に満ちた世界。


夜光貝を握る紗羅の頬に手を添える。

あの日の約束がやっと果たせる。


「それに、言っただろ?」


俺の言葉に、紗羅が首を傾げた。

その姿に、優しく微笑む。
< 341 / 344 >

この作品をシェア

pagetop