人魚姫の涙
聞いた事のない言葉に、聞いた事のない歌。
どんな歌かなんて全く分からなかったけど、俺は魔法にかかったかのように身動き一つ出来ずに聞き入っていた。
すると、ゆっくりと息を吐いて歌い終えたと同時に、前を見据えた紗羅。
そして、懐かしむように俺に歌の事を教えてくれた。
「この歌ね、パパが好きな歌なの。小さい頃からよく聞かされてたの」
「おじさんが?」
「そう。今のはイタリア語なんだけど、今度日本語に訳してあげる! とってもとってもいい歌なの」
そう言って、ニッコリ笑ってこっちを向いた紗羅。
しかし、急に視線が合うもんだから、心臓が一度大きく跳ねた。
ちょ、マジ心臓に悪い……。
「おじさんは? 一緒に来なかったんだ」
そんな心の動揺を悟られないように、平静を装って言葉の続きを紡ぐ。
そんなギリギリの俺とは違い、紗羅は変わらない様子で大きく頷いた。
「うん。パパは仕事で忙しいから。私も今、ちょうど大学が休みなの」
「大学通ってるんだ?」
「うん。ミラノにあるの」
「引っ越してからイタリアにずっと住んでるのか?」
「そうだよ。でも、イタリアの中で転々とはしたよ。ローマにも行ったし、ベネチアにもフィレンツェにも。でも、ミラノが一番好き」
ミラノ。
イタリアに住んでるから普通なんだろうけど、なんかスケールがでかく感じる。
どんな歌かなんて全く分からなかったけど、俺は魔法にかかったかのように身動き一つ出来ずに聞き入っていた。
すると、ゆっくりと息を吐いて歌い終えたと同時に、前を見据えた紗羅。
そして、懐かしむように俺に歌の事を教えてくれた。
「この歌ね、パパが好きな歌なの。小さい頃からよく聞かされてたの」
「おじさんが?」
「そう。今のはイタリア語なんだけど、今度日本語に訳してあげる! とってもとってもいい歌なの」
そう言って、ニッコリ笑ってこっちを向いた紗羅。
しかし、急に視線が合うもんだから、心臓が一度大きく跳ねた。
ちょ、マジ心臓に悪い……。
「おじさんは? 一緒に来なかったんだ」
そんな心の動揺を悟られないように、平静を装って言葉の続きを紡ぐ。
そんなギリギリの俺とは違い、紗羅は変わらない様子で大きく頷いた。
「うん。パパは仕事で忙しいから。私も今、ちょうど大学が休みなの」
「大学通ってるんだ?」
「うん。ミラノにあるの」
「引っ越してからイタリアにずっと住んでるのか?」
「そうだよ。でも、イタリアの中で転々とはしたよ。ローマにも行ったし、ベネチアにもフィレンツェにも。でも、ミラノが一番好き」
ミラノ。
イタリアに住んでるから普通なんだろうけど、なんかスケールがでかく感じる。