人魚姫の涙
幼い頃は紗羅の事ならなんでも分かったのに、当たり前だけど今は知らない事の方が多い。
イタリアでどんな風に育ったのかなんて、俺には想像もつかない。
どことなく寂しさを覚えた時、不意にある事を思い出して口を開く。
「それよりさ、今日のアレ。何?」
鼻歌でまた何かを歌っていた紗羅に唐突に言葉を投げる。
言葉足らずな俺の言葉に、案の定紗羅はキョトンとした様子で首を傾げた。
「あれ?」
「雅樹からもらってた。――ほら、宝物って言ってた」
あの時の紗羅から向けられた意味深な笑顔が引っかかってた。
あのウロコも、どこかで見た事あるような気がしてならない。
記憶を辿る俺をジーっと真顔で見つめる紗羅の視線に気づいて、瞬きを繰り返す。
あまりにも真剣なその顔に、何かマズイ事でも言ったか? と焦りが生まれる。
「え、何?」
ジリジリと近づいてくる紗羅に、同じように俺も後ずさりする。
座ったままだけど、どんどん縮まっていく距離にドクドクと心臓が鳴った。
「成也覚えてないの?」
どうしたんだと声を上げようとした時、紗羅の不満そうな声が落ちた。
イタリアでどんな風に育ったのかなんて、俺には想像もつかない。
どことなく寂しさを覚えた時、不意にある事を思い出して口を開く。
「それよりさ、今日のアレ。何?」
鼻歌でまた何かを歌っていた紗羅に唐突に言葉を投げる。
言葉足らずな俺の言葉に、案の定紗羅はキョトンとした様子で首を傾げた。
「あれ?」
「雅樹からもらってた。――ほら、宝物って言ってた」
あの時の紗羅から向けられた意味深な笑顔が引っかかってた。
あのウロコも、どこかで見た事あるような気がしてならない。
記憶を辿る俺をジーっと真顔で見つめる紗羅の視線に気づいて、瞬きを繰り返す。
あまりにも真剣なその顔に、何かマズイ事でも言ったか? と焦りが生まれる。
「え、何?」
ジリジリと近づいてくる紗羅に、同じように俺も後ずさりする。
座ったままだけど、どんどん縮まっていく距離にドクドクと心臓が鳴った。
「成也覚えてないの?」
どうしたんだと声を上げようとした時、紗羅の不満そうな声が落ちた。