人魚姫の涙
「成也~、妖精ちゃんは元気してる~?」
「まぁ、それなりに」
「いいなぁ~成也ばっかり。どうしてお前の周りばっかり、いい女が集まってくるんだよ」
カリカリと講義のノートを取る俺の横で、机に突っ伏しながら唸っている雅樹。
飽きもせずに紗羅の事ばかり聞いてくる。
正直、カナリ邪魔だ。
「成也は顔が女好みなんだろ~。よく言う爽やか系」
「意識した事はないけどな」
「俺も爽やか系にしようかなぁ~」
「お前は不思議系で通した方がいいんじゃね?」
和志の意見に同意するように、俺も頷く。
俺が爽やか系なら、雅樹は不思議系というか癒し系だ。
高校の時から身長が一気に伸びた俺。
ありがたい事に、その頃から急にモテだした。
部活もずっとサッカーをしていた事もあり、よく告白されていた。
和志から聞いた話、一時は校内人気ナンバーワンだったとか。
といっても、全く興味が無かったから嬉しくもなかったけど。
女に興味がないというわけじゃないけど、今まで本気で誰かを好きになった事がない。
彼女はいたけど、告白されて顔が好みだったから付き合っただけ。
冷めている俺に愛想をつかし、だいたい俺がフラれて終わるってパターンが王道だった。