人魚姫の涙
「あ~そうだな、帰るわ」
今日は天気もいいし、一緒に夕日でも見に行くかな。
そう言った俺に羨ましそうな視線を送る雅樹と、仲良いな、と言って笑う和志。
気を使わないでいれるこの2人と一緒にいるのは、とても楽だった。
他愛もない事を話しながら、いつもの道を通って校門へと歩く。
そんな時、不意に遠くの方から声が聞こえた。
「成也~~!!」
名前を呼ばれて反射的に振り返ると、こっちに駆け寄ってくる子がいた。
見慣れたその姿に、答えるように手を上げる。
「友香」
「今日、講義あったんだ?」
「まぁな」
駆け寄ってきたのは、友香。
俺の彼女だ。
「ともちゃん、久しぶり~」
「久しぶり! 雅樹くん」
ヘラリと笑った雅樹にニッコリと友香は笑って答えた。
友香とは、大学の食堂で声をかけられたのが始まりだ。
去年の冬から付き合ってるから、もうすぐ付き合って半年になる。
肩のあたりで髪の毛を内巻きにしてる友香。
どちらかというと、活発な感じ。
テニスサークルに入っている。