人魚姫の涙
「おい、成也。友香ちゃんが手振ってるぞ」
ガヤガヤと騒がしい大学の食堂で、和志の声が耳に届く。
その声に反応して、無心でカレーを食べていた俺はゆっくりと顔を上げた。
少し離れた所で、友達に囲まれて無邪気に手を振る友香が見える。
その笑顔に、俺の心はチクリと痛む。
「なぁ、成也」
「あぁ~?」
「何かあった?」
軽く片手を上げて、挨拶し終えた俺に和志はズバリ聞いてきた。
さすが。
付き合いが長いだけある。
俺の事は何でも、お見通しだ。
「え!? 成也何かあったのか!? 水臭いじゃねぇかよっ!!」
まぁ、例外もいるが。