人魚姫の涙
「成也、料理もできるんだね~!」

「母さんが仕事で忙しい時は、俺が用意してたからな。大体の物は作れる」

「すご~い! ねぇ、今度ナポリタン作って」

「紗羅、昔から好きだよな。ナポリタン」

「うん! 大好き!」


フライパンに野菜を入れて炒め始めた成也の隣で声を上げる。

慣れた手つきでフライパンを操る姿は、まるで料理人の様でかっこよかった。


私より、頭1つ大きい成也。

昔からクセッ毛だった髪は、今はパーマをかけたみたいにお洒落にセットされている。

ずっと野球をしてたみたいだから、すごく体もしっかりしてる。

たまに、海辺を走って鍛えてるんだって。


和志くんから聞いたけど、成也、女の子にスゴイモテるみたい。

でも、こんな王子様みたいにカッコイイんだから、みんな好きになるのは当たり前。


優しくて。

しっかり者で。

どんな時も冷静で大人な成也。


私を呼ぶ、声が大好き。

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