雨の庭【世にも奇妙なディストピア・ミステリー】
3・月は東に、日は西に。生まれいで、やがて死にゆく。
打ちひしがれ、ここで何をするでもなくぼんやりと過ごしていた頃を思い出す。
○
「りっか、遊びに来たよ」
「あ……。こんにちは」
「こんにちは。ごはん、食べた?」
首を縦に振る。
「いいね。おいしかった?」
「まあ、……そうね」
「そっか、よかったね」
「うん……」
つまらない会話をして、ため息が胸の中に充満するのを感じて、ため息をつく。
そんな日々をただむやみに送っていた。
人というのはこんな会話をするために生きているのだろうか。
呼吸をする。米を食べる。月は東に、日は西に。生まれいで、やがて死にゆく。
――くだらなくて、馬鹿らしい。反吐が出る。勝手にやってろ。
絶えず痛み続けていたずたずたの心は、少しだけ治って、触れなければ痛くはない。けれども、相変わらず身動きはとれない。
そんな頃の自分に、北寺は根気よく話しかけてくれたのだ。
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「りっか、遊びに来たよ」
「あ……。こんにちは」
「こんにちは。ごはん、食べた?」
首を縦に振る。
「いいね。おいしかった?」
「まあ、……そうね」
「そっか、よかったね」
「うん……」
つまらない会話をして、ため息が胸の中に充満するのを感じて、ため息をつく。
そんな日々をただむやみに送っていた。
人というのはこんな会話をするために生きているのだろうか。
呼吸をする。米を食べる。月は東に、日は西に。生まれいで、やがて死にゆく。
――くだらなくて、馬鹿らしい。反吐が出る。勝手にやってろ。
絶えず痛み続けていたずたずたの心は、少しだけ治って、触れなければ痛くはない。けれども、相変わらず身動きはとれない。
そんな頃の自分に、北寺は根気よく話しかけてくれたのだ。