雨の庭【世にも奇妙なディストピア・ミステリー】
4・ただそれだけのことに。
少し前の、まだ心が元気になる前の話の続き。
夢の中でごーりごーりという音が聞こえてふと目を覚ますと、北寺が冷凍庫を開け、ごーりごーりと音を立てて白っぽいものをスプーンで混ぜていた。
「ああ、ごめんね。起こして」
北寺が手を止め、冷凍庫に何かをしまう。
「それ、もしかしてアイスも手作りするの?」
自家製のアイスクリームだ。
「うん。だって、天蔵《アマゾウ》のアイスはカチコチに固いじゃん。なめらかなやつ食べたくない?」
「食べたい」
凍りかけたアイスクリームに空気を含ませるのだという。
「寝てていいよ」
と北寺が、スプーンを水で流して静かに洗っている。
「それ、やめないで」
と律歌は言った。
なめらかなアイスクリームが食べたかったし、その音を聞いていたかった。とても幸せな、心満たされる音だった。
夢の中でごーりごーりという音が聞こえてふと目を覚ますと、北寺が冷凍庫を開け、ごーりごーりと音を立てて白っぽいものをスプーンで混ぜていた。
「ああ、ごめんね。起こして」
北寺が手を止め、冷凍庫に何かをしまう。
「それ、もしかしてアイスも手作りするの?」
自家製のアイスクリームだ。
「うん。だって、天蔵《アマゾウ》のアイスはカチコチに固いじゃん。なめらかなやつ食べたくない?」
「食べたい」
凍りかけたアイスクリームに空気を含ませるのだという。
「寝てていいよ」
と北寺が、スプーンを水で流して静かに洗っている。
「それ、やめないで」
と律歌は言った。
なめらかなアイスクリームが食べたかったし、その音を聞いていたかった。とても幸せな、心満たされる音だった。