ノンフィクションにご注意を
フムフムと納得している私を置いて洗面所を出て行く許斐君を、慌てて追いかける。


「か、帰って来たら返すね!」


「いいよ別に。オレが持ってても使い道無いから、そのまま貰ってくれたら嬉しい」


「でもイトコさんは許斐君にあげたんでしょう?それを勝手に貰っちゃ……」


「親父達が再婚したら溝渕も一応イトコになるだろ…似合ってるから、そのままでいて欲しいな、オレ」


ニッと柔らかい微笑みと一緒にそう言われ、ドキッとした。


あのお母さんと巌さんがデートしに行った日曜日から、3日後。あの日帰って来た許斐君はいつも通りに戻っていた。
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