ノンフィクションにご注意を
嬉しかった。“ムリするな”と言って貰えた事が。


小さい頃は早くに母親を亡くしたオレを、親父や親戚は気にかけてくれた。


しかし小学生、中学生と大きくなるにつれそれ等は薄れてゆき、オレも気を遣わせちゃダメだと気を張る日々。


その日常が当たり前だと思っていたオレにとって、溝渕の言葉は渇いた大地を潤す恵みの雨みたいだったんだ。


「以上がオレがお前にホレた経緯だよ。思い出したか?」


つらつらと2ヵ月半前の回想を話し終え、現在の溝渕に視線を向ける。


「思い出したけど…あんなの人として当然の事だよ…?特別な事なんかじゃ……」
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