ふうこさんと見えない夏目くん
理解の追いつかない私を置いて、彼は勝手に話を進めていく。


「じゃあ、俺はもう何も言わないから、あとはお前が直接話せよ」


明らかに私に話しかけている様子はないので、おかしなこの状況を黙って見守る。

話が終わったのかなぁと思えば急に彼がうなだれて、動かなくなった。


「え、え?大丈夫?」


話しかけても返事がない。
体を揺らしてみようかと手を伸ばしてみたら、


「ひっ!」


彼が急にガバッと顔を上げて悲鳴が出た。


「おー、動ける」

人が驚いているのに、呑気な声を上げるものだ。
手をひらひらとさせる彼は、先ほどの彼と雰囲気が少し変わったようだった。
なんというか、柔らかくなって、目元もきつくない。

勘違い?それとも、

本当に"体を貸した"?


「……夏目くん?」
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