ふうこさんと見えない夏目くん

最初は何言ってんだこいつ、と疑いの目で見ていたが、嘘をついているようにも見えなかった為、理解出来なくてもとりあえずは信じてみることにした。


「とりあえず、は信じるけどさ、でも私にお願いって何?見えないし、できることないと思うんだけど」

「それねー。俺さ、高校生活エンジョイしたかったの」

「エンジョイ……」


お願いの話になると、何故か夏目くんはちょっと楽しそうだった。


「でも高2の夏っていう、一番いいところで死んじゃったわけじゃん?まだやりたいこと沢山あるんだよ。で、逢沢さんにはそれを手伝ってもらえたらなぁとか、思ってマス」


ちょっと照れたように笑う。
かわいらしいお願いだった。
見えないけれど、私に何かできるなら、やってあげたいなと思ってしまう笑顔だった。


「……出来ることがあるなら、いいよ」

「やった!まじで?ありがとう!」


ガッツポーズで大げさなくらい喜ぶ夏目くん。
話しててわかったけれど、どうやら夏目くんは佐々木くんと違って感情表現豊かなようだ。
< 16 / 45 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop