ふうこさんと見えない夏目くん
最初は何言ってんだこいつ、と疑いの目で見ていたが、嘘をついているようにも見えなかった為、理解出来なくてもとりあえずは信じてみることにした。
「とりあえず、は信じるけどさ、でも私にお願いって何?見えないし、できることないと思うんだけど」
「それねー。俺さ、高校生活エンジョイしたかったの」
「エンジョイ……」
お願いの話になると、何故か夏目くんはちょっと楽しそうだった。
「でも高2の夏っていう、一番いいところで死んじゃったわけじゃん?まだやりたいこと沢山あるんだよ。で、逢沢さんにはそれを手伝ってもらえたらなぁとか、思ってマス」
ちょっと照れたように笑う。
かわいらしいお願いだった。
見えないけれど、私に何かできるなら、やってあげたいなと思ってしまう笑顔だった。
「……出来ることがあるなら、いいよ」
「やった!まじで?ありがとう!」
ガッツポーズで大げさなくらい喜ぶ夏目くん。
話しててわかったけれど、どうやら夏目くんは佐々木くんと違って感情表現豊かなようだ。