ふうこさんと見えない夏目くん

既に死んでしまった夏目くんは、本当はもう何かを見たり感じたりすることは出来ないはずなのに、何故かこうして佐々木くんの体を通して色々な物を感じることが出来る。

それってどれだけ、夏目くんにとっては価値があることなんだろうか。
夏目くんは何を考えて、ここに居るんだろう。

そんなこと私が簡単に聞けるはずもないので、私は普通に、ひとりの人間として夏目くんと接したいと思った。

「夏目くんも、あったかいよ」

「うん、俺ちゃんとここに居るんだね」

「そーだよ。楽しいこともこれからするんだよ」

夏目くんはへらっと笑って、しばらくは黙って私の手を握っていた。


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