ふうこさんと見えない夏目くん
彼の前まで来たのはいいけれど、目を合わせることが出来ないので、やや俯きがちで声をかける。


「な、なんでしょう」

「ここじゃあ話できないから、外でもいい?」

「……はーい」


逃げられないようなので、大人しくついていくことにした。




連れてこられたのはさっきのごみ捨て場。
歩く間は始終無言だったから、変に緊張してしまう。


アスファルトの上にカバンを放り投げた彼は、校舎の壁に持たれてあぐらをかいた。

彼が何も言わないので、私もおずおずと少し離れて座り、彼に問いかけてみる。


「あの、なんで私の名前知ってるの」

「さっきここに来た女子に聞いた」

「ふむ……」


会話はそれきりで、彼がなかなか口を開かないから妙な空気が流れる。

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