君がいない世界で生きるために
天使
「玲ちゃん!玲ちゃん!」
「どうした、天使」
「……咲乃だよ」
「咲乃と書いて天使と読む」
「キリってしないでよ!じゃなくて、あのね!私、彼氏が出来ちゃった!」
「……さくのん、私を殺す気かい?」
「玲ちゃんも気に入ってくれると思うの」
「……ほう?」
「その人ね、ぼーそーぞく?のトップなんだって!」
「咲乃、悪いことは言わない。たしかに私の好みだが、咲乃を危険な目に遭わせたくない」
「でもその人、私のこと守ってくれるって!」
「かっこつけか。悪くはない」
「ねえ、玲ちゃん……ダメ?」
「ダメと言われても、好きなのだろう?」
「……うん」
「あーもう、赤くなって。可愛い。天使か?神か?」
「ちょ、玲ちゃん、きつく抱きしめすぎ!」
「……さくのん、その男と付き合うのは構わないが、私から離れないでくれよ?」
「もちろんだよ!私、玲ちゃんのことも大好きだもん!」
しかしその天使の笑顔は、半年後には消えてしまった。
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