君がいない世界で生きるために
中村先生は一番仲が良かった先生で、私のことも咲乃のこともよく知っている。
「和多瀬、学校はどうした」
「自主休校」
「なんだ、サボりか」
自主休校だ。
「和多瀬は真面目な子だと思ってたんだけどなあ」
「先生、買い被りすぎ。私は咲乃に会えるから、毎日来てたにすぎない」
「出た、白雪命。そうだよな……白雪も生きてりゃ今は受験生だったもんな……」
先生は意味もなく空を見上げる。
絶対に意味はない。
「……先生は、どうして咲乃が死んだと思う?」
「どうしてって、そりゃあ事故に巻き込まれたからだろ?俺はそう聞いたけど」
先生の顔を見る限り、嘘をついているようには見えなかった。
知らないと思って聞いたから、そこまで落胆はしなかった。
「和多瀬……なにをしようとしてる?」
先生は心配の目を向けてきた。
なにを、か……
「秘密に決まっているだろう?」
そして私は問いただされる前にその場から逃げた。
やはり咲乃の元彼を探すことが一番らしい。
ネットでも見れば、それっぽい情報は出るだろうが、ネットだ。
当てにはならない。
佑真だけが頼りだな……