君がいない世界で生きるために
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二週間後、私は男にも見える格好で佑真の通う高校の文化祭に来た。
不良校と言われるだけあってか、生徒の見た目は不良そのものだ。
文化祭らしい装飾がされているにも関わらず、どこか暗い雰囲気が漂っている。
というか、一般公開の意味はどのようなものだっただろうか。
ほとんど誰も来ていない。
「玲ちゃ」
案内するために校門に呼び出した佑真の口を塞いだ。
人が少ないとはいえ、生徒は多くいる。
そのため、佑真が玲ちゃんと呼ぼうものなら、私のちょっとした変装は無意味となってしまう。
私は周りに聞かれないよう、佑真の耳元で囁く。
「ちゃんはやめてくれないか」
「わ、わかった……もしかして、その格好と関係してる?」
私は佑真から手を離しながら、頷く。
「ここに通うつもりでいるからな。念のため」
転入してきたときに私のことを覚えている人がいると厄介だから。
「玲ちゃん、僕より男の子みたい」
「だから……まあいい。元総長のところに連れて行ってくれ」
しかし佑真は立ち止まって動かない。
「佑真?」
「……僕、一日分のシフト押し付けられちゃって……それに、僕なんかが新城さんに近付けない……」