君がいない世界で生きるために

だからと言って、逃げるわけではない。



「佑真が頼りにならないことくらい知ってるさ」

「れ、玲くん……?」



私の発言に佑真は戸惑い、周りはさらに笑い出す。


正直、うるさくて聞いてられない。



「だが!心優しい奴だ。あんたたちより何倍もマシだね」



標的が私に切り替わった。


このまま喧嘩になることは避けたい。



喧嘩なんかしてしまえば、負けが目に見える。



「なあ、相田。俺たち喉がかわいててさあ」

「す、すぐ買ってきます」



佑真は走って教室を出ていった。


わざわざ佑真を追い出す必要があったのだろうか。



「ここでは強い奴が上に立つ。言いたいこと……わかるよな?」



そいつは気味の悪い笑みを浮かべた。



喧嘩でもしろというのか。


そんなの、負けるに決まってる。



そんなに手駒を増やしたいのか。



「相田を殴れ」

「は?」



俺とやれ、と言われると思っていたから、逃げ道を探していたのに。



「どうして佑真を」

「相田より上だと見せてみろ」



実にくだらない。


付き合ってられない。


上だとか下だとか、本当にどうでもいい。



私は、ただ……
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