君がいない世界で生きるために
発見
久々に咲乃の夢を見た。
咲乃のいない時間が過ぎても、咲乃の可愛さは色褪せない。
だが、いないという現実のせいでそれは悪夢となり、私はベッドの上で冷や汗をかいていた。
汗が気持ち悪くなり、顔を洗うために部屋を出る。
「……相変わらず無愛想な顔だ」
洗面台の鏡で自分の顔を見る。
そこで顔が青くなっていることに気付いた。
やはり、咲乃が亡くなったのはキツいな。
もう一度顔を洗い、近くにあったタオルで水を拭う。
私の天使、白雪咲乃が死んだのは半年前。
事故に巻き込まれ、死亡。
と聞いたが、正直納得できなかった。
事故であることに間違いはないだろうが、それが偶然の事故だとは思えなかった。
しかし、咲乃の両親がその真相を探ろうとしなかった。
咲乃が暴走族と付き合っていたことを認めようとしなかった。
だから、手詰まりとなった。
私のようなただの高校生が知るには限界がある。
「……私から離れないって約束したじゃないか、天使……」
「天使じゃないって言われてたよね、玲ちゃん」
唐突に声をかけられ、慌てて振り返る。
「佑真……?」
そこに立っていたのは家族ではなく、隣の家に住む幼なじみ、相田佑真だった。