君がいない世界で生きるために
佑真の手には三本のペットボトルがある。
「これ、買ってきました」
佑真は雨宮に一本渡すと、教室の中央に行ってしまった。
雨宮の分と、あと二人、いつの間にか離れていた人の分らしい。
「雨宮は新城に会ったことあるか?」
私の質問で、雨宮は飲んでいた飲み物を吹き出しかけた。
「お前……なに考えてんだ?」
「その危険人物とやらに用があってね」
「恨みでもあんのか?まあ、それくらい買ってるだろうけど……だからって、和多瀬みたいな弱そうな奴が会うのは……」
心配されているのか。
本当に、佑真を殴れと言っていた人とは思えない。
まあ、そんなことは置いておいて。
確かに、雨宮が言う通りだろう。
だが、うまい具合……タイミングを間違えずに咲乃の話題を持ち出せば。
「……殴られない自信があるのだよ」
「和多瀬?」
「なんでもないよ。早めに新城に会いたいんだけど、どこに行ったら会えるか?」
雨宮は固まってしまった。
「お前、人の話聞けよ!新城には会うなって言ってんだよ!」
雨宮が大声で叫んだせいで、私は教室にいるほとんどの視線を集めてしまった。