君がいない世界で生きるために
「あのチビ、新城さんに会うつもりか……?」
「死ぬ気かよ……」
「命知らずだな……」
あちこちから似たような声が飛んでくる。
そこまで言われる新城って一体……
というか、そんな人を咲乃は恋人にしたと?
私はそんな人を認めようとしていたのか……
私は自己嫌悪から逃げるように、深呼吸する。
「命知らずでもなんでもいい。僕は新城に話がある」
雨宮には私が本気で言っていると伝わったのか、雨宮は固まっている。
ペットボトルのキャップを閉めると、私の近くにある椅子に座った。
「新城はほぼ学校に来ない」
「なんと。そんな奴がトップになれるのか?」
「入学初日にトップ倒せば、必然的に新城がトップになるだろ」
なるほど、そういうことか。
雨宮が底辺の佑真を倒させて、パシリを塗り替えるかそうしないかを判断しようとしたのと同じってことか。
「そういうわけだから、今すぐに会わせることは」
すると、雨宮の声を遮るように、ガラスが割れるような音がした。
流れるように全員が廊下に向かう。
「なんだ……?」
「新城だ」
姿も見ていないのに、雨宮は言い切り、顔は青ざめていた。