君がいない世界で生きるために
「なぜ言い切る?」
「新城がいてむやみやたらに喧嘩する奴はいないんだよ。そんな中で、ガラスが割れるってことは新城しかいない」
学校に来ていなくてもそこまで恐れられてるのか……
新城がいるとわかって、私は自然と足が動いた。
だが、雨宮に腕を掴まれた。
「今行くつもりか?」
「今行かなければ、次がいつかわからないのだろう?」
「だとしても、今は危険だ。恐らく気が立ってる」
私は雨宮の手を下ろす。
「それはいつものことだろう?」
「死ぬ気か!?」
今度は肩を掴まれた。
あまり強い力ではなかったため、簡単に払うことが出来た。
「目的を達成するまでは死ねないさ。そもそも、そのために新城に用がある」
「……わかった」
それ以上雨宮が私を引き止めることはなかった。
私は人の隙間を通り、廊下にたどり着いた。
何人か倒れている真ん中で、右手から血を流して立つ男がいた。
私のところからでは背中しか見えず、それが新城だと判断はできない。
「今日はなにがあったんだ?」
「新城さんの肩に当たったらしい」
近くの生徒の声が耳に入った。
どうやら新城で間違いないようだ。