君がいない世界で生きるために
新城のほうを見ると、新城は私のほうを見て話を聞いていたらしく、私たちは目が合った。
「要は、俺に協力しろってことか」
「話が早くて助かるよ」
新城は柵を頼りに立ち上がる。
「いいだろう」
その返事を聞いて、私は胸をなでおろした。
……そうだ、協力するとなったのだから、話しておくべきだろう。
「新城、あの……」
「レイなんだろ?」
どう切り出すべきか迷っていたら、新城に遮られた。
「咲乃がいつも話してたレイって、お前のことだろ?写真も見せてきてたし、あの弱そうなやつもレイって呼んでたしな。でも、たしか女じゃなかったか?」
……ほとんど知られているではないか。
今までのちょっとした努力を返してほしい。
しかし、そのおかげで少し落ち着いた。
「和多瀬玲。正真正銘の女だ」
咲乃とのツーショットを見せるが、わかっていた新城はあまり驚いていなかった。
どちらかというと、呆れているように見えた。
「俺と話すためだけに、男子校に編入してきたのか?」
「一日で終わる話ではないからな」
「……まあ、そうだな」
ほかに言いたいことがあるように思えたが、聞かないでおく。
こうして私は新城を巻き込むことに成功した。