君がいない世界で生きるために
「先生、喧嘩です!怪我人がたくさんいて……!」
「すぐ行く!あなた、片付けお願いね!」
そして先生は道具を持って、慌ただしく保健室を出ていった。
片付けを任された私は、立ち上がって片付ける場所を探す。
「喧嘩だって」
しかしやる気のないことをしていれば、すぐに飽きる。
それを紛れさすために、私はそう呟いてみた。
「……なにが言いたい」
「別に?」
……思いのほか、会話が続かなかった。
トップが変わったという噂は瞬く間に広がるだろう。
となれば、新城に怯える人は減り、私を恐れる人が増える。
だが、この見た目だ。
新城ほどの支配力はない。
雨宮が言っていた通りだとすれば、トップが変わって喧嘩が多発……というところか。
「……一つ聞いていいか」
喧嘩がおきた理由を考えていたら、新城に話しかけられた。
「ああ」
「咲乃が死んだ原因を探るって、具体的にどうするつもりだ?」
……ノープラン。
だなんて、言えるものか。
本当は、新城に徐々に近付き、話を聞くつもりだった。
こんなにも早く協力体制に入れるとは思っていなかったため、どうすればいいのかわからない。
「なにも言わないってことは、なにも思いついていないってことでいいな?」