君がいない世界で生きるために
仲間
放課後に新城の仲間に会いに行くと決まると、私は教室に戻って授業を受けた。
ほとんど教室に生徒はいなくて、いたとしても授業を聞いている生徒は佑真くらいで、授業が成立していなかったが。
「玲くん、帰ろう」
全ての授業が終わって佑真が話しかけてきた。
「悪い、佑真。今日は新城と行くところがあるから、先に帰ってくれ」
「新城と?お前、本当に新城に勝ったのか?」
私たちの会話を聞いていた雨宮が、口を挟んできた。
その噂は学校中に広まり、私に話しかけてくるのは佑真と雨宮だけになってしまった。
まあ、友達を作りに来たわけではないから、全くもって問題はないが。
「だから言っただろ?負けない自信があると」
まあ、喧嘩などしていないのだから、勝ち負けなどない。
だが、今はそういうことにしておいたほうがいいだろうという、新城の意見より。
「和多瀬」
新城が私たちの教室に顔を出すと、空気が一瞬ピリついた。
しかし、私に負けたという噂のおかげで、新城をバカにするような声があちこちから聞こえてきた。
私は気にせず新城のところに行く。
そしてそのまま校舎を出た。
「新城を恐れる人がいなくなったな」
前を歩く新城は私を一瞥する。