君がいない世界で生きるために
新城は綺麗に舌打ちをする。
不服そうに新城は残った一人のほうへ歩いていく。
さて、恐らく今から暴力沙汰になるだろう。
私は影にでも隠れて終わるのを待っておこうか。
それから十分は経った。
倉庫の中からは喚くような声や、威嚇のために使っていると願いたい拳銃の音が聞こえてくる。
なんとも物騒だ。
そして、遅い。
私は忍び足で倉庫に近寄る。
慎重に中を覗くと、新城一人が囲まれていた。
新城は血を流しながらも、倒れることだけはしなかった。
「……して戻って……」
その中の誰かが、新城に言っているが、周りの人の声のせいでよく聞こえない。
「……のことについて……来た」
「お前に……ない。さっさと……」
よく聞こえないが、睨み合っていることはわかる。
ああ、気持ち悪いな。
半年とはいえ、咲乃がこのような空間の中にいたと思うと、吐き気がする。
新城には関係ないと言ったが、私は倉庫の中に入っていった。
足元に転がっていた拳銃を手にし、上に向けて撃つ。
弾は入っていて、自分でも驚くくらいの音がなった。
全員が振り向く。